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【PFCD13】Ametsub『Linear Cryptics』

¥2,200 税込

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RADIQ (半野喜弘)『GRAFFITI & RUDE BOY 67'』以来約2年振り、PROGRESSIVE FOrMの新作は『forma. 2.03』に参加したAmetsubのデビューアルバム。美しさと力強さに裏付けられた想像力が仮想領域と空想世界の接点を行き来する注目作!

01. Roving Pianist
02. Lurid Sky And Tama Stream
03. I Am Not Into It If You Are Into It
04. Returner
05. Go Seeing White
06. Atrland
07. 2 Cats
08. The Solo To Untamed Place
09. Reminiscence
10. Green Oeuvre
11. On Perfect Time

 本作はPROGRESSIVE FOrMにとって、リリースとしては青木孝允の12"『simply funk ep』以来、CDアルバムとしてはRadiq『GRAFFITI & RUDE BOY 67'』以来の作品ということになる。この突出したレーベルがいまだ信頼するに足る体裁を保持しているのは、盛時に名を馳せたエレクトロニカ・レーベルが、長いこと沈黙していたり消滅したり、でなければかつて築いた優秀なカタログに泥を塗るようなことを止むを得ずしているようにみえる昨今では、奇跡のように思える。メジャーとプライヴェート・レーベルが横並びに乱立し、音楽作品が、盤に刻まれモノとして店頭に並ぶだけでなくデータでネットワークを飛び交うこの混沌とした時期にあっても、厳格なクオリティ・コントロールが相変わらずであるようで心強い。要するに、このレーベルの帰還に、喜んで「ウェルカムバック!」と言えるような、本作はそういう作品になっている。リリースのインターヴァルが多少空いたっていいのである。

 Ametsubは、PROGRESSIVE FOrMをフォローしてきたリスナーにとって、『forma. 2.03』に収録されていたアーティストとして記憶に残っているかもしれない。このレーベル・コンピレーションがリリースされた2003年から現在まで、同レーベルのパーティをはじめ都内で行われた数々のイベントに出演し、レーベルDrizzlecatを率いてもいる人物だ。この『Linear Cryptics』は、彼のアルバムデビュー作という事になる。これを通して聴いて、ひとは、彼のアーティスト名の響きを振り返り、いくばくかの懐かしさとともに、彼の音楽遍歴を、いや、彼のイマジネーションの来し方を辿る事になるかもしれない。つまり本作は、非常に音楽的で印象深いアルバムに仕上がっているのである。思えば、『forma. 2.03』はProcessやStaticら著名陣が連なっていたにもかかわらず、ラストを飾った彼の「sasanoha」のえのいわれぬ美しさがキモとなっていた訳で、本作はそれをアルバムに展開したような良作になっている。「幼少期は紙と鉛筆があればおとなしかった」「自然と科学とともに育った」という成長の過程で育まれ膨張していったであろう想像力が、ピュアな形で音に現れているように感じられ、そう言えばかつて目にした彼のアーティスト写真は膝まで川に浸かった後姿だったとか、本作に添えられた彼の曲解説はどことなく茶目っ気があるとか、いちいちの情報に純朴さを嗅いで素直に信じようとしてしまう。というか、その純朴さを裏付けるものとして、それらが納得されてしまう。オルゴール調のメロディはメルヘンチックで、ピアノが奏でるソフトなタッチもメランコリーも、透徹の度を増して美に向かっているように思える。全体的に味わい深いが、特に「2 Cats」「Green Oeuvre」は絶品。もしここで私たちの頭を「ベッドルーム・テクノ」という言葉がよぎるなら、それは本作がリスニングに耐える作品だからというだけではなく、ベッドルームという空想に満ちた最も身近な空間を、本作が想起させるからだ。一方、彼の音楽性は時々「変態」という言葉で表現されてきているが、これも当然の事ながら素行がオカシイという意味ではなく、クリエイティヴィティの独自性が常人らしからぬの意であり、例えばかつて同じ言葉で形容されたMatthew HerbertやMoodymannの変態性につながるものと思っていい。私たちはここで再び、仮想領域と空想世界の接点を行き来し、創造のメカニズムを、感動のシステムを幻視するだろう。あまりに平然とそれをやってのけているように感じられるから、Ametsub本人にしてみれば、ただ単に、手近にある道具を使ってモノを作った、ただそれだけのことなのかもしれない、溢れ出すものがあってそれを鳴らした、彼にすればいつだってそうだったのかもしれない、そんな気がしてしまう。 中澤始(optone - www.optonedit.com)

Ametsub
(2005年頃のプロフィール)
紙と鉛筆があればおとなしかったという幼少期より音に対する疑問や安心感を感じつつ、10代で音楽機材を一切使わない身の周りの物を駆使した実験的な音作品をいくつも完成させる。2003年にPROGRESSIVE FOrMからリリースされた「forma 2.03」に参加し定評を得る(当時20歳)。以後マイペースに音楽活動を続け、Drizzlecatという名義にてイベントを主催、ROMZ Recordのコンピレーションにも参加する。絵画やデザインを手がけつつも、掟破りなDJとしても様々なイベントで多種多様なアプローチを試みる。その繊細で切なさすら感じられるメロディーはライブパフォーマンスでも多くのオーディエンスを魅了し、鋭くとも暖かみのあるリズムは確実に聴き手の体を動かす。彼が弾くピアノの音色は、力強くも儚く時にユーモアでもありジャズやクラシックの要素も感じとれる。暗く美しい独自の世界観を持ち、まるで情景を描写する様な楽曲を届けてくれる存在である。

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