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【PFCD16】蓮沼執太(Shuta Hasunuma)『HOORAY』

¥2,160 税込

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米WESTERN VINYLより2006年に発表された1stが注目を集めた気鋭のクリエーター”SHUTA HASUNUMA”。本作は美しく繊細なメロディーをそのままに、リズムオリエンテッドに仕上げられた秀逸な3rdアルバム!

01: Flamingo Intro
02: KFRMX
03: Uprock Apache
04: Thembi
05: HOORAY
06: No Volatile
07: Attack the Distance
08: Exchange Groove
09: Footprints
10: Cotton Fields

プレスリリース

 PROGRESSIVE FOrMのニューリリースは、新鋭Shuta Hasunumaのアルバム。新鋭と言っても、本作は彼の3作目のアルバムとなる。

 ざっと彼の足跡を辿ろう。Shuta Hasunumaのデビューは2006年。10月、セルフタイトルの1stアルバムを、米オースティンのWestern Vinylからリリース。同じ年の年末には、ausが主宰するflauの室内音楽コンピ『echod』に、HoodやMontag、Ametsub等とともに参加している。続く2ndアルバム『OK Bamboo』もWestern Vinylから。作品発表に前後して、東京都内を中心にライブを行っている。ちなみにこのWestern Vinylは、既にカタログ番号が40を数え、新人等に混じって、Will Odlham(変名)、Papa M、Oren Ambarchi、Robert Lippokといったクセモノもリリースしている興味深いレーベル。主宰のBexar Bexarは、Fat Catのコンピや先述の『echod』に楽曲を提供していたりもする。

 本稿執筆時点で未到着の2ndアルバムは措くとして、まだ発表から1年経たない1stの彼の音に覚えがあれば、本作は意外に思えるかもしれない。「ソングクラフト」と評された、わらべ歌を編み替えるように優しく温かい1stに比べ、本作は非常にシャープで、冒頭のサブベースの圧迫感から驚かされる。この2作の違いは、柔和と硬質、有機と無機、曖昧と鮮明、といった相反する言葉で表されそうだが、それはそのまま、彼の個性の幅なのだろう。

 もう一つの差異は、本作のトラック2「KFRMX」が象徴している。その名が示すように、これは1stに収録された「Karma Fulcrums」のリミクスだが、ノンビートの原曲と異なり、リズムが前面に押し出されている。本作に散りばめられた音の粒も断片は、緻密に配置されて定律を形作る。

 さて、本作で特に際立つのは楽曲の展開だ。トラック1、3、4、8、10など長尺の曲は、モチーフを歌い終え、フェードアウトするかにみえた終盤に変容する。この刺激的な転回は、リスニング環境に依存する、つまり、微細な音を聴き漏らすと味わえないので、スピーカーを通し大きめのヴォリュームで聴くことをお薦めしたい。そうやって聴取して例えば、本作に鈴虫の鳴き声を聴いたと感じたなら、それは鈴虫が聞こえるようなある空間を想起したのであるし、星の瞬きを聴いたなら、星の光る夜を感じたのである。彼が本作に寄せた文で「音に身をまかせて楽しんでほしい」と言っているのは、そういうことかもしれない。

text by 中澤始(optone)

アーティストによる楽曲解説

Track 1, Flamingo Intro
僕はAnalogと Digital を同一平面上で考えいて、この対立をバランス良く組み合わせる事によって、曲の持つ可能性を最大限に引き出そうと心がけています。あらゆるプロセスを経て出力された繊細なノイズ.電子音を丁寧に使い、良い意味で荒っぽく泥臭いトラックに仕上げました。左右様々な角度から音が飛び込んできます。

Track 2, KFRMX
僕の1stアルバム収録曲「Karma Fulcrums」の素材を使い、作り直した曲です。原曲は純粋なサインウェーヴを重ねた持続音の作品でした。今回はそれを、少ない音数をいかに効果的に使い、複雑なリズムに絡ませることでどれだけグルーヴを出す事ができるか。。。これを目標にして、チャレンジした曲です。

Track 3, Uprock Apache
「Uprock」とは、ロックやファンクやソウルの音楽にあわせて踊るストリートダンスです。僕は、このような白人の音楽の感覚と黒人の音楽の感覚をごった煮をした反応にとても影響を受けています。日本人は手軽に様々な国の音楽を聴く事ができ、なおかつ公平.フラットにその価値を判断できる世界でも非常に珍しいリスニング環境を持っていると思っています。この曲ではそんな黒人音楽が持つ、豊かで力強い。そしてやわらかい雰囲気を理想としたビートに挑戦しました。デリケートなノイズとビートのキックが畳み掛けるように頭をカキーッんとさせてくれはずです。

Track 4, Thembi
この曲はアルバムの中でもAnalogとDigitalを等価に扱うスタンスが一番よく表れています。左右に細かい音の配置を考え、極力簡素な音を効果的なインパクトで与える事ができるポイントにノイズをくい込ませました。すべて人力で行う事によって、Digitalのランダマイズでは出せないであろう自分独自の感覚を出せるように頑張りました。それを感じとって頂ければ、とても嬉しいです。

Track 5, HOORAY
高校生時代に制作したトラックのメロディーをピックアップして、シンプルに再構築した1分のインターリュードです。HOORAYとは歓声の「フレー」という叫び声。

Track 6, No Volatile
この曲は崩壊寸前のギリギリの要素で成り立っています。余分な音があっても崩れ、逆に音の要素がこれ以上少なくなっても崩れてしまう。キック、ノイズ、ベース、サインウェーヴ等を限界まで引き算していき、空間?スペースを豊かに使用した曲です。次から次へと飛び込んでくる、その引き算して残った多様な音の素材の質感や肌触りを実感してもらえるように考えて作りました。

Track 7, Attack the Distance
ふと気がつくとすでに耳元ではもう違う音が鳴っている。1分のインターリュードです。

Track 8, Exchange Groove
その名前の通り、グルーヴを交換しあうという安直なタイトルです。このグルーヴというのは、3曲目での説明の「白人の音楽の感覚と黒人の音楽の感覚をごった煮」という雰囲気をイメージしたものです。曲の主体となるのは、R&Bのような繊細なリズムです。身体的なリズムと反して計算的な電子音とノイズが、がっちりと手を取り合う事で力強さを表現できたらイイなと思います。

Track 9, Footprints
たくさんの細かい音の粒子がしっかりとした秩序を成立させています。10分近いドローン作品です。フィードバックやループで構成され音が多様性すぎて、はじめは混沌として聴こえになるかもしれません。しかし、それぞれの音ひとつひとつが役割を果たしており緻密に積み上げられています。

Track 10, Cotton Fields
このタイトルも10分を超える曲です。リズムが無くシンプルな素材を反復させているなかにも、緩やかなノリを表現したいと思いました。曲の中盤からビートがうねり出します。コンピューターマシンでの音楽制作ソフト等のテクノロジーがある程度進歩した現在、楽曲に対する作る側のイメージが豊かでないと、益々つまらないものになってしまいます。ソフトで簡単に作れれば作れるほど自分の持つ感性や感覚がストレートに出てしまうと思っています。音楽制作に常に一貫している事は、やわらかいアイディア。その発想を限定する事無く自由に、自然にたくさんの要素を取り入れる挑戦です。

最後に、僕自身とても楽しみながらこのアルバムを作りました。皆さんも聴いて頂ける機会があったら是非音に身をまかせて楽しみながら聴いて頂きたいです。

【プロフィール】
1983年東京都生まれ。2006年秋、アメリカのWestern Vinylレーベルより1stアルバム『S/T』を、2007年同レーベルより2ndアルバム『OK Bamboo』リリース。そして3rdアルバム『HOORAY』をPROGRESSIVE FOrMよりリリースする。ライヴパフォーマンスでは、すべて生楽器での演奏を試みたり、またはラップトップ1台での有機的かつフィジカルなパフォーマンスを行う。一見まったく逆のアプローチに見えるこの表現方法を果敢にチャレンジしている。アナログとデジタルとの、音楽と音響との、感覚的なる事と計算的なる事との接点を探求する。昨今では英音楽誌「WIRE」や世界各国のウェブ、マガジンに取り上げられ注目を集めている。2008年夏にはHEADZより4枚目のアルバム
を発表予定。
http://www.shutahasunuma.com/

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